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優先富化現象

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複雑系光学分割現象(優先富化現象)に関する研究

19世紀半ばに、Pasteurとその弟子Gernezにより、不斉結晶の存在が明らかにされ、そのラセミ体 [Racemic conglomerates:(+)結晶と(-)結晶の1:1混合物] の光学分割法(優先晶出法)が見い出された。一方、過去一世紀半にわたって、単純な再結晶によるラセミ結晶 [(±) 結晶:1個の結晶中に(+)分子と(-)分子が1:1存在] の光学分割は、原理的に不可能であると考えられていた。しかし、1993年に単純な再結晶によりラセミ結晶の光学分割が可能な場合があることを偶然発見 し、1998年にこの新しい光学分割現象を「優先富化現象」(Preferential Enrichment)と命名した。優先富化現象のメカニズムをほぼ解明し、結晶の相転移に伴って生じる対称性の破れが原因となって発現する、複雑系光学分割現象であることが明らかとなった。

(キーワード:キラリテイー・光学分割・鏡像異性体・ラセミ結晶・X線結晶構造解析・結晶多形転移)

[主論文: Angew. Chem. Int. Ed., 35, 2372-2374 (1996); Angew. Chem. Int. Ed., 37, 2876-2878 (1998); 有機合成化学協会誌, 56巻, 22-33 (1998); 化学,54巻, 47-54 (1999); 日本結晶学会誌, 43, 32-37 (2001); J. Am. Chem. Soc., 124, 13139-13153 (2002); Cryst. Growth Des., 3, 959-965 & 973-979 (2003); Chem. Eur. J., 12, 3515-3527 (2006); Top. Curr. Chem., 269, 53-82 (2007); Cryst. Growth Des., 7, 1643-1652 (2007);有機合成化学協会誌, 65巻, 1203-1212 (2007); Cryst. Growth Des., 8, 540-548 (2008) ; Eur. J. Org. Chem., 3496-3505 (2009); 化学工業,60巻,187-193 (2009); Symmetry, 2, 112-135 (2010); Cryst. Growth Des., 10, 2668-2675(2010); Cryst. Growth Des., 11, 607-615(2011)]

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